大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

静岡地方裁判所浜松支部 昭和44年(わ)96号 判決

主文

被告人を禁錮四月に処する。

訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は自動車運転の業務に従事するものであるところ、昭和四三年一〇月三一日午後三時三〇分頃、普通貨物自動車を運転し通称二俣街道を南進中、毎時約四〇粁の速度で浜松市上島町一〇七三番地先交叉点に差蒐つた際、同所で右折しようとしたが、かかる場合自動車運転者としては反対方向からの直進車があるときは之に進路を譲り、以つて事故発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があるのに之を怠り、折柄反対方向より直進して来た鈴木貞秋(一六才)運転の自動二輪車を約一五米前方に認めながらそのまま右折しようとした過失により、自動左前側部の側面を同二輪車に激突させてその衝撃により同人に脳内出血等を負わせて間もなく同所筒井外科医院にて死亡させた外、同二輪車後部に乗車していた沢村守(一六才)に対し加療約四ヶ月を要する左尺骨々折等の傷害を負わせたものである。

(証拠の標目)(省略)

(法令の適用)

被告人の判示所為は刑法第二一一条前段、罰金等臨時措置法第二条第三条第一項第一号に該当する処、以上は、一個の行為で数個の罪名に触れるから刑法第五四条第一項前段、第一〇条により、重いと認める判示業務上過失致死罪の刑を以て処断すべく、所定刑中禁錮刑を選択し、その刑期範囲内で、被告人を禁錮四月に処し、刑事訴訟法第一八一条第一項本文により、訴訟費用は全部被告人に負担させることとする。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例